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北海道ひとり旅 写真集(17)「サロベツ原野」

サロベツ原野。
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広大な利尻礼文サロベツ国立公園の中の下サロベツ原野園地に寄る。春から秋にかけ、高層湿原と低層湿原を通る木道のそばに美しい高山植物、湿性植物、水生植物が咲きそろい、草原の野鳥たちがさえずる。

ヒオウギアヤメ。この季節ハマナス、エゾカンゾウなどが北海道全域で咲きほこっていた。富良野、美瑛などのラベンダーはもう少しあとが見ごろ。 
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海を挟んで利尻富士が薄墨の影絵のように浮かぶ。手前の建物は原野のビジターセンター。
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5階建てくらいの高さの展望塔。写真はここから撮影した。
「みんなで昇れば怖くない」のだろうが、誰もいない塔をひとり昇ると・・・。
風で塔が揺れ、階段の隙間からはるか下に地上が見える。次第に足に震えが・・・。
あぁ、こわ!昼間の怪談、いや階段でした。
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北海道ひとり旅 写真集(16)「日本最北端、宗谷岬」

宗谷岬は「日本最北端の地」。間宮海峡を挟んで、ここから40キロ先にはロシア領サハリン(戦前の樺太)がある。
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ダカーポ「宗谷岬」の歌碑。
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森進一と島倉千代子の歌が交互に流されていた「襟裳岬」に対して、こちらはこの1曲だけ。おばさんたちのグループが歌碑を見ながら、流れるテープと一緒に「流氷とけて、春風吹いて・・・♪」と歌っている。
一緒に口ずさみましたが、地のはてで歌うと、いい曲だこと、この歌。ね、ダ・カーポさん。 

宗谷岬に群生しているアルメリア(和名:ハマカンザシ)。
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千島列島にも野生しているが、宗谷の花畑は人の手によるもの。この海の向こうにサハリンが一瞬見えたり、消えたり・・・。「確かに見えましたよね」と見知らぬお隣さんに声をかけると、「えぇ、確かに」とうなずいてくれたり・・・。蜃気楼を見るような不思議な体験でした。え?キタキツネにばかされた? いえいえ、確かに・・・。

自ら発見した海峡にその名を残した間宮林蔵。
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すぐれた測量者であり、冒険・探検家でもあるこの人、蝦夷の北限の宗谷どころか、樺太(今のサハリン)にまで渡り、ぐるりと回って、樺太が島であることを確認した。このためシベリアと樺太の間の狭い海峡が間宮海峡と名づけられている。当時は舗装道路があるわけもなく、厳しい自然の中、ヒグマなどの野生動物のけもの道を切り抜けて、この地に到達し、さらに樺太にも2度わたり踏破した。

この林蔵さん、実は私が今住む茨城県伊奈町の出。町には質素な生家も残されている。像は車でやってきた「ご近所の後輩」に微笑みを返すことなく、じっと北を見つめる。200年後に伊奈町の後輩が乗ってきたのは現代・・・ん?正しくはヒュンダイの車。

北海道ひとり旅 写真集(15)「天然ホタテの塩焼きはあまかった!」

エメラルドブルーの海と空。オホーツク海を望む土地でこのようなあざやかな絵の具を塗ったキャンバスに身を置けるとは・・・。気温は20度前後。カラリとしていて、実に気持がいい。
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道北は日本最北の地域。オホーツク海、間宮海峡、日本海を三方に見る。
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宗谷岬まであと30キロの地点の猿払公園内「道の駅」で食べた「塩焼きホタテ定食」。これはうまい!
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猿払の道の駅のレストランには、他にもホタテの刺身定食とかフライ定食などのメニューがあったが、従業員にどれがいち押しかと聞いて即座に「塩焼きが抜群」との答えが返ってきただけのことはある。ここの天然ホタテは素材自体のうまみ、あまみが「日本一」だが、そのうまさを引き出している調理法ががこの塩焼きなのだ。
食後に、店員に「塩焼きってこんなに甘みが出るんだねぇ」と話しかけると、「素材にも甘みがあるんですが、塩をふることで、さらに甘みが増すんです。トマトに塩をふって食べると甘く感じるでしょ。あれですよ」

ホタテに包丁を入れ、数ミリ残して開き、軽く塩をふる。あとは焼くだけ。猿払から冷凍ホタテを自宅に送り、解凍してやってみたが、調理はいたって簡単。解凍の仕方がまずかったせいか、「甘み」、「うまみ」はやや落ちたが、まあそこそこの出来にはなった。その辺のスーパーで生のホタテが手に入ったらぜひ、ためしてみてほしい。
ただ、日本一のホタテおいしさは、猿払でしか味わえませんぞ。 


少し高い丘を越えるとこんな光景が。ゆるやかにカーブを描いた下り坂の向こうに青い海、澄んだ空が広がる。まさに地平線と水平線のコラボレーションが生み出した絶景だ。
あぁ、北海道、デッカイドー、エエドーと感じる瞬間!。
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道路脇に立っているL字型の鉄棒は除雪車が道路の幅を確認するためのもの。雪が積もるとわからなくなる道幅を確認するために設置してある「標識」で東北、北陸でもよく見かける。

また、写真を撮り忘れたが、道路を走っていると「スノーシェルター」なる頑丈なアーチ型の屋根も時々見かけた。あまり内地では見かけない道路設備だ。前後、左右がわからないほど吹き荒れる猛吹雪の際の逃げ場。

北海道ひとり旅 写真集(14)「ウトロ温泉 湯元民宿 緑荘」

知床の夕焼け(ウトロ)。明日もいい天気になることのお告げです。
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ウトロの宿は船に乗る前に確保しておいた湯元民宿「みどり荘」。
敷地内から源泉が湧き出ている。やや白濁した鉄鉱泉で 源泉の湯温63度。なめるとややしょっぱい。

夕食を食べていると、庭にエゾシカがやって来た。
別の客。
「鹿を飼っているのですか」と宿の人に聞くと「野生の鹿がいつもの通り、草を食べに来ただけです。この辺の人は決して餌を与えませんが、その代わり、庭の草や花を食べていくんですよ。花はつぼみができると食べられちゃう。どんなに高いフェンスを張っても、鹿は軽くジャンプして越えてしまいます」。
私も会話に加わる。
「世界遺産になったらどんどん鹿が増えて食害がますますひどくなるのでは?」。
宿の娘さん。
「冬は食べるものが少ないので餓死する鹿が結構います。それを狙うクマもいるので、鹿の数はそんなに増えないと思いますよ」。

民宿「みどり荘」の夕食(上)と翌朝の朝食(下)。魚介尽くしだが、特に感動するほどのものではなかった。少し、舌が肥えてきたのかな?、いや贅沢になってきたかな?
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札幌観光バスのガイド、佐藤さん(写真右)と夕食、朝食時に向かい合わせになった。「なんで、食事をカメラで撮っているんですか?」から会話が始まった。

img20050711.jpgガイド暦14~15年のベテランガイドさんだ。世界遺産前夜の知床は結構混んでいて、ふだんだと運転手と同宿になるところ、部屋が手当てできず、「みどり荘」に佐藤さんだけが回されてきたという。
以下は、佐藤さんの話。ガイドブックには載っていない情報ばかりだ。

「定年ですか。おめでとうございます。お疲れ様でした。私は仕事で北海道を隅々まで回っています。明日は、私たちはお客さんを阿寒湖のほうにお連れしますが、宗谷岬に向かうのなら、途中(特に斜里から網走の間)、スピード違反の取締りをやっているので、注意したほうがいいですよ。オービス(自動速度取り締まり装置)だけでなく、ネズミ捕りです。(翌朝、佐藤さん指摘のポイントで、ずばりスピード違反の取締りが!おお危なかった)。

お昼は、かなり距離がありますが頑張れそうなら猿払(サルフツ)の「道の駅」まで足を伸ばしてホタテを食べてみてください。猿払のホタテは天然もので味のよさ、ボリューム感、どれをとっても日本一です。最北端の宗谷を見た後は、内陸部を南下するのではなく、日本海側を沿岸沿いに下りた方がいいと思います。時間的に利尻島、礼文島には渡れませんが、運がよければ利尻富士が見えます。また、途中の原生花園は網走あたりの浜沿いの原生花園とは比較にならないほど広大です。ぜひ見ていってください」

北海道ひとり旅 写真集(13)「海から見る知床(2)」 

知床には、流れ着く流氷によってシベリアやカムチャッカ、アラスカに至る広い範囲の栄養分、プランクトンが運ばれてくる豊かな海である。と同時に、人を寄せ付けない厳しい冬は、この地のほとんどを手付かずのままにしている。世界遺産に登録されると、さらに厳しく開発が制限されることになるだろう。

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岩尾別の入り江(写真下)。鮭が幾重にも重なり、真っ黒になってこの川を上るという。断崖続きの景観の中で、こうした入り江が現れるとなぜかホッとする。さとう宗幸の歌「岩尾別旅情」を想いだした。

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岩尾別旅情
作詞・作曲:さとう宗幸

 
北の涯知床の 吹く風はつめたく
波荒いオホーツクに 白いかもめはあそぶ
丘の上に咲く一輪の エゾニューの花によれば
茜色の空に光る 小さな星ひとつ
 
友と語る知床の 岩尾別の宿よ
静かに雨降る夜の 思い出はもう消えぬ
ランプを見つめ彼の友と 旅の情うたえば
暗い夜の谷間へそっと 美わしく流れゆく
 
別れてゆく知床の 霧にけむる道で
手を振る君の姿は 花のかげに消えた
いつの日かまた会えると 笑顔で別れてきた
君の声が今もきこえる その日までさようなら


下は知床第2の高峰、硫黄山(1562m)。活火山である。1935~1936年の噴火で硫黄の噴出量が1日当たり最大数千トン、総噴出量は約20万トンに達し、カムイワッカ川や海浜は黄色い硫黄で覆われた。
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DSC_1477.jpgカムイワッカの滝。
硫黄山のふもとにあり、硫黄分を含む湯の滝となっている。中段の滝つぼ温泉には水着着用で入ることができるが、前号で書いたとおり、マイカーは進入禁止なので、バスで行くしかない。さらに、行ける期間も短い。今回は、やむを得ず海から拝んだ。流れる跡が黄色いのは硫黄成分。
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