北海道の根室沖で日本のサンマ漁船が転覆し7人が死亡した。

近くを航行した記録があるイスラエルのコンテナ船があやしいとなり、調査が進められているが、この船を所有するイスラエルの会社の社長の動きがすばやい。すかさず来日し、所管の官庁に謝罪しに訪問したあと、記者会見であらためてお詫びと補償についてはっきりと述べ、今日には根室に飛んで遺族に頭を下げるという。

この船には1キロ以内に他の船が近づくと警報が出る最新の装置がついているが、鳴らなかったという。宿直の航海士も衝突には気がつかなかったと言っている。まだブラックというよりグレーの状態だが、この社長は早々と自社の持ち船の過ちであることを認め、捜査への全面協力、謝罪、補償を確約した。来日するのも早かったが、この経営者は「責任」、「誠意」をよく知っているようだ(最後まで見届ける必要はあるが)。

img20051005_2.jpgひるがえって、福知山線の脱線事故(4月25日)で死亡者107名、負傷者549名という大惨事を引き起こしたJR西日本の経営陣の初動の悪さは何だったのだろう。最初は社長も出てこず、幹部がおこなった会見では「置石の可能性がある」と開き直った発言が出たり、お詫びのひと言もなかなか聞けなかった。
(写真はYOMIURI ONLINEからお借りしました)

大勢の部下を抱えて商売をしている以上、リーダーは上(上司)、横(同僚)、下(部下)、客の四方から見られているが、一番大事なのは言うまでもなく客である。平時はごまかせても、このあたりの大事な部分への認識と行動にズレ、ブレがあると、何かことが生じたとき「化けの皮」がはがれる。危機のときに見せる「行動」、これがその人の真の「顔」である。