娘さんの結婚式のためアメリカから一時帰国中の友人がウクレレを始めたいというので、さらにその友人でもあるテニス仲間と3人でお茶の水の楽器街に繰り出した。

楽器店には、右から仕入れてそのまま左へ小売りする店と、一台ごとに楽器の調整を施して売る店がある。

黒澤楽器系の1軒目の店ではペグ(糸巻き部分)のビスが緩んだままのウクレレを店頭に並べていたが、2軒目(アキオ楽器)ではペグそのものも信頼性のある部品に交換し、フレットの間隔、高さを自分のところで調整した商品を置いていた。
ペグが緩んでいると弾いているうちに音が下がってくる。フレットの間隔が狂っていると、当然音程にも狂いが生じる。フレットの高さが不均等だと、指に負担がかかり、痛くなるほか、弦が他のフレットにさわってビビリ音が発生したりする。

標準的な店とハワイアンに強い、どちらかと言うとマニアックな店を案内したところ、友人は後者の店をマニアックというより「初心者にもとても丁寧に応対してくれる安心な店」と評していた。購入したのもこのアキオ楽器

実はこの店はこれまでと合わせて3回目。脇道を入ったレストランの2階のその店は、歩いているだけでは気がつかない小さな看板の地味な店だ。アキオとはご主人(渡辺昭男さん)の名から来ている。

中に入るとハワイアンのバンド活動をやっているような先客がいつもいて、店のご主人ときわめて専門的な話をしている。だから、一見の客には目もくれないのだろうナァ、と勝手に思い込んでいたが、どうも違っていた。

きのうは先客もおらず、こちらから話しかけると、実に親切にあれこれとアドバイスをくれた。ここのご主人本人がウクレレやハワイアンが本当に好きで、これから始めたいという「新人さん」が目の前に現れると、心底うれしくなってくるのかもしれない。

楽器を愛する人は、目の前にその楽器を始めたいという人が現れるととてもうれしいものだ。とことん、イロハからアドバイスしたくなる。ここのご主人はそういう人のようだ。結果、売る方も買う方も満足する。

そんな店を探すのがお茶の水楽器街のぶらつき方のようである。できれば、その楽器を多少弾くことができる「先輩」に同行してもらうとなおいい。

ちなみに友人はハードケースに入れた新しいウクレレを大切そうに抱えながら、ウキウキとした表情で通りを歩き始めた。気分は「アロハ」である。

ウクレレやアコースティックギターを始めたいという方、いつでもご一緒しますよ。